バンクシア
2022年、国内外を問わず、多くの著名人が鬼籍に入る一年でした。エリザベス女王(96)、森英恵さん(96)、三宅一生さん(84)、西村京太郎さん(91)、石原慎太郎さん(89)、オリビア・ニュートン・ジョンさん(73)、安倍晋三元総理(67)など、世代を超えて知られた方の名が思い浮かびます。
特に、アントニオ猪木さん(79)や三遊亭円楽さん(72)のお二人は、訃報に接する、ほんの2ヶ月ほど前までメディアでその姿を目にしていただけに驚きでした。10月1日に波乱万丈の79年の人生を終えたアントニオ猪木さんは『自分らしく闘って死にたい』とリハビリに励む姿をYouTubeで公開し、8月にはテレビ出演して、車いすから『元気ですか!元気があれば何でもできる』と、声を発しておられました。9月30日に旅立たれた六代目円楽師匠も、病に倒れてからリハビリを経て7ヶ月ぶりの復帰となった8月には『みっともなくてもいいから死ぬまでやります』と毒舌を交え30分もの高座をつとめられました。お二人らしい言葉で、また、病と闘う姿をあえて見せることで、多くの人に勇気と元気を与えてくださいました。
そして、最期の最期まで燃え続けたアントニオ猪木さんと、8月に天に召された稲盛和夫さんという、まったく別の世界で生きてこられた、このお二方に共通するのが、『燃える闘魂』という言葉です。
会社経営でも格闘技でも、『絶対に負けない』と闘争心を燃やし、あきらめず、病と闘う、あるいは、厳しい境遇や環境と闘い続けることが大切だと説いています。そして、まさに身をもって、生をもって、闘争心の大切さを伝え、世界中の多くの人が、その生きる姿や闘う姿から学び、感動を得てきました。
オーストラリア原産の「バンクシア」という植物は、乾燥地帯の森で自然発生的に起きる山火事で燃え、その熱ではじめて、硬い殻の実から種子を放ち、繁殖するそうです。
先人となった方々が燃やし続けた“闘魂”の種子は、最期まで燃え、世界に放たれました。たとえ、焼け野原だったとしても、これから、あちらこちらで一番に芽を出し、育っていくはずです。