“ことのは”の森 / Column

ススキ

秋から冬へと季節が移りゆくころ、ひさしぶりに訪れた地元=田舎の景色はすっかり変わっていました。
『なす術もなく息をひそめるシャッター通り商店街』
『待つことが仕事という高齢者であふれる病院』
『自動車通勤の前後に町を行き交う、あちらこちらの介護施設の送迎車』
『車も客もいない駅前のタクシー乗り場』 と、いろいろと考えさせられる光景が印象に残ります。
若者も医者も働き手もいないという、地域の高齢化・過疎化・少子化が具現化された光景を実
際に目の当たりにすると、どうしたものかと途方に暮れます。もちろん、地域でも、みな努力はしているので
すが、時は思った以上に速く、情け容赦なく進んでいるようです。点在する空き地や空き家の庭の枯れ
すすきが、地域の現状を象徴するようでもあります。
でも、一方では、
『ここにいたのか!と驚くほど、車と人でいっぱいの郊外のSTARBUCKS』
『朝夕の渋滞は当たり前の二車線の市内道路』
『初めてだと戸惑うものの、地域にしっかりと根付いているコミュニティバス』
『どうしてここに?という場所で出会う異国の観光客』 という景色にも出会いました。

町なかに群生するススキは、枯れて寂しくも見えますが、有用植物であるススキの茎は、茅葺き屋根の材料や燃料として、日本人の生活に深く結びついています。また、ススキは、あまり目立たないけど、花も咲き、実もなる植物であり、花言葉は、『心が通じる』『活力』『元気』です。きっと、生命力や逆境を乗り越える強さが感じられるからこその花言葉でしょう。
 そう、まだまだやれることはあると思うと、夕陽になびくススキも黄金色に輝いて見えます。

・・・ 敬具
(梟)

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